ビジネスにおいて、どうやって差別化するかを悩んでいる方は多いと思います。
しかし、競合他社とまったく違いのない商品を扱っていても、工夫次第で差別化を図ることは可能です。

■目次
差別化は競合他社との競争に欠かせない
違いのないビジネスで差別化に成功した具体例
差別化戦略の肝は編集力
編集力があれば幅広い業種で差別化が可能に
まとめ

差別化は競合他社との競争に欠かせない

ビジネスは、冷めた見方をすると、競合他社と顧客を奪い合う競争という面があります。
自社の製品やサービスが、競合他社よりも圧倒的に優れている場合は、企業の差別化戦略など必要ないでしょう。
製品自体が、顧客に違いを語ってくれ、理解した顧客が製品を購入してくれます。
しかし現実は、競合他社の製品やサービスと違いがはっきりしなかったり、あるいはまったく同じということの方が多いと思います。

そのため、会社の営業部門やお店のオーナーは、必死に差別化戦略を考えます。
自社の商品やサービスの他社と異なるセールスポイントや、他社が提供していない顧客にとっての価値を、必死に探すことになります。

違いのないビジネスで差別化に成功した具体例

ところが、競合他社とまったく同じ商品でありながら、差別化に成功する会社もあります。
実際の事例ですが、東京都内の人気の駅から徒歩10分ほどの所に、賃貸専門の小さな不動産会社がありました。
私が知ったのは、開業後数ヶ月という時期でした。

その不動産会社のホームページでは、「駅から10分以内の駅近物件100%」をアピールしていました。
「当社は駅近物件の専門店です」という点を、差別化ポイントにしていたわけです。

一方競合他社は、駅近物件もあれば、駅から離れた物件も扱っているため、「駅近専門店」や「駅近物件100%」というような訴求はできませんでした。
そのため、駅近物件を探しているお客様が両方のホームページを見ると、明らかにこの会社のホームページの方に、価値を感じると思います。
実際に、駅から少し距離のある不動産会社にも関わらず、次々とお客様の予約が入り、創業間もなかった会社は、どんどん成長していきました。

実は、不動産会社の大半は、レインズという東日本不動産流通機構が運営する同じシステムにある物件情報を扱っています。
つまり、簡単に言うと、どの不動産会社でも同じ物件を扱っているわけです。
この会社も、競合他社も、扱っている物件はまったく同じでした。

しかしこの会社の優れたところは、駅近物件以外の物件情報をホームページに掲載しないことによって、「駅近物件の専門店」という魅力的なコンセプトを打ち出した点です。
全部の物件情報を紹介したかった競合他社は、「いろいろな物件が豊富にあります」という、ちょっとぼんやりした印象しか与えることができませんでした。

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差別化戦略の肝は編集力

この会社も競合他社も、扱っている商品は同じなので、差別化の成功要因は商品ではありません。
同じ商品を扱っているのですが、ターゲット顧客を限定し、ターゲット顧客が魅力を感じるコンセプトを打ち出し、コンセプトに合わない情報を思い切りよく捨てた点が、この会社の成功の要因でした。
様々な情報を発信すればするほどコンセプトはあいまいになるため、情報を消すことによって、特長を際立たせることに成功しています。
ターゲット顧客を決め、コンセプトを打ち立て、情報を取捨選択するという、「編集力」が差別化を実現したのでした。

経済学者のマイケル・ポーターは、「どのようにして競争優位を築くか」という観点から、「コストリーダーシップ戦略」、「差別化戦略」、「集中戦略」の3つの基本戦略を提唱しています。
このケースでは、特定の顧客に絞り込んで自社の経営資源を集中投下するという「集中戦略」が実践されているわけです。
また、あえて駅近以外の物件を捨てることにより、商品に他社にない付加価値を付ける「差別化戦略」も実践しています。
そして、どの特定顧客に集中するかを決めるセンスや、選んだ特定顧客が魅力を感じるコンセプトを打ち立てる力が、「編集力」になります。

編集力があれば幅広い業種で差別化が可能に

このように、編集力によって、仮に同じ商品やサービスを扱っていても、競合他社と差別を図ることは可能です。
幅広い業種で、このことは実践できます。

まずは、ターゲット顧客の中から、一部の顧客にコアターゲットを絞り込むことです。
たくさんの顧客に合わせようとすればするほど、コンセプトはあいまいになります。

次に、コアターゲットに選んだ顧客が魅力を感じるコンセプトを打ち出すことです。
顧客を限定しているので、コンセプトは決めやすいと思います。
また、しっかり限定していれば、尖ったコンセプトになるはずです。

最後は、コンセプトにあった情報だけを、発信することです。
コンセプト合わない商品情報や特長などは、隠します。

一部の顧客に限定するため、会社やお店のホームページで実践するのに問題がある場合もあるかと思います。
そのような場合は、別にサテライトサイトを作って、その中で実践することで解決します。

まとめ

競合他社と闘いながら顧客を獲得するには、いつの時代も差別化を図る必要があります。
差別化は、商品やサービスに際立った違いがない場合でも、一部の顧客に対象を絞り込み、魅力的で尖ったコンセプトを打ち立て、情報を取捨選択することで可能になります。
オフィシャルサイトで実践が難しい場合は、サテライトサイトを制作し、そこで差別化を図ると良いでしょう。

 

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